今回の課題図書はバルガス=リョサ『ラ・カテドラルでの対話』でした。
今回は、バルガス=リョサの語りがとにかくうまいことをメインに、そうはいっても特定の時代に書かれた小説を、今の価値観に照らしてどう読むべきか、上手に距離を取りつつ楽しむにはどうしたらよいかについて意見を交わしあう会になりました。管理人は敬愛するドン・フェルミンについて話したかったのですが、あっという間に時間が経ってしまい... またどこかで本書について語る機会が持てたらと思います。
参加者の方のコメントの一部を以下に。
- 著者・課題図書について
- 語りが上手すぎて嘘をつくのが得意そう。
- 背景がわからなくても読める面白さがある。
- 登場人物の造形が濃いので、描写が断片化されているのに一つの物語として読める。
- 緒言は後からの付け足しだから、バルガス=リョサのリップサービスの可能性あり。
- 学生運動とその衰退について、小説の舞台になった時期ではなく執筆された時期のバルガス=リョサの意識が反映されているのでは。
- ペルーの政治の腐敗を糾弾しようとしたというより、小説を面白くするための道具立てとして利用しているように感じた。
- サバリータについて
- 厨二病? それともきちんと考えがあった?
- やりたいことがみつからない人。
- 聖職者の潔癖さがあった。対話ではなく一方的な告解のようだった。
- アンブローシオについて
- 生命力に希望を感じた。
- 複雑な性格を持つ人。
- 使用人階層だからそうせざるを得なかったのかもしれないが、自意識を内に秘められる人(サバリータと逆)。
- 女性の描き方について
- アマーリア(聖)とソイラ(俗)、娼婦たちがひたすら男から金を搾り取ろうするなど、やや類型的。
- 都合のいい女たちではなかった点では興ざめしなかった。
- 女性の外見の描写が妙に多いのは、著者が無批判に女性を見られる性として扱っているのかどうか(後付けですが、カヨの嗜癖の表れかもしれないと管理人は思いました)。
参加者の今回のおすすめ・話題になった本や映画はこちら。
次回の課題図書はギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』、3月26日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。
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