ちいさな読書部第17回『日の名残り』開催のお知らせ

日時:2021/07/31 (土) 15:30-17:30

場所:オンライン

短い旅に出た老執事が、美しい田園風景のなか古き佳き時代を回想する。長年仕えた卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々……。遠い思い出は輝きながら胸のなかで生き続ける。失われゆく伝統的英国を描く英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。

(早川書房の課題図書紹介ページより)

ちいさな読書部第16回は、カズオ・イシグロの『日の名残り』を読む会です。

日系イギリス人のノーベル文学賞受賞者ということで、翻訳小説を読む方にとってカズオ・イシグロはおなじみの作家かもしれません。最新作の『クララとお日さま』で人工知能と人間の関係について思いをはせた方も多いと思います。ちいさな読書部では30年前に戻って、30代のイシグロが描いた「取り戻せない過去を振り返ること」を巡る小説を読んでみたいと思います。大昔に読んだ方も、積んでいた方も、ぜひご参加ください。ジェームズ・アイヴォリー監督、アンソニー・ホプキンス主演で映画化もされていますので、映画と小説について比べてみるのもおもしろいかもしれません。

本会はZoomを使って実施します。接続方法についてはこちらを、Zoomの使い方についてはこちらをご覧ください。初めてセットアップする場合のテスト方法はこちら

オンラインミーティングが初めてという方は、ヘッドセットやマイク付きイヤフォンのご利用をお勧めします。有線の製品なら1000円程度から入手できます。

お申し込みはPeatixのこちらのページで受け付けています。

お願い:本会は少人数でゆったり話し合うタイプの読書会です。会の運営に響きますので、ご参加の目処が立ってからお申込みいただきますようお願いいたします。無断欠席された方は今後の会にはご参加いただけませんので、ご承知おきください。

ちいさな読書部第16回『訴訟』活動報告

本活動報告には課題図書の結末について触れる箇所がありますので、未読の方はご注意ください。

今回の課題図書はカフカ『訴訟』でした。

『訴訟』は未完の作品であり、著者が章の順序を確定させていません。そのぶんはっきりした起承転結がなく、読み終わったときに宙ぶらりんの感覚に陥ったという方もいらっしゃいました。しかし、コロナ禍のために、直接分かり合う感覚を共有することが難しい今、古典に分類される『訴訟』の「自分の認識が社会/他者のそれと乖離するおそれ」というテーマは、ひときわリアリティを持って現れてきました。参加者全員が、いわゆる「カフカ的」という言葉に想起されるような不条理よりも現代社会の不安を本書に感じ、またその感じ方が各人で異なった点で、読書会向きの一冊だった気がします。

参加者の方のコメントの一部を以下に。

  • 丘沢訳は読みやすかった。
  • 現在のラノベ、マンガに近い感覚で読めた。世界が突然変わってしまい、その理由を説明しない点も近い。
  • 誰かの夢をのぞき見している感じがした。
  • 評判を落とされることへの恐怖が描かれていた。
  • 会社員の悲哀が伝わってきた。
  • 余命告知されたときの人間の反応に近いのではないか。
  • 人間関係で失敗したときの心情の描写がうまい。
  • 現代社会の置き換え可能な人間が描かれており、自分の取るに足らなさを感じてしまった。
  • Kは本当に無罪なのか、彼の認識が間違っている可能性もある。
  • Kのような自分に気づいた。会話のかみ合わなさにリアリティがあった。

参加者の今回のおすすめ・話題になった本はこちら。

第17回の課題図書はカズオ・イシグロ『日の名残り』、7月31日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。

ちいさな読書部第34回『老人と海』開催のお知らせ

日時:6月1日(土)15:30-17:30 場所:オンライン かつて読んだ人も、初めて読む人も。いま、歴史的名作を「新解釈」で! 老漁師サンティアーゴには、もう84日間も釣果がなかった。幼い頃から老人の見習いをしていたマノーリンは、一人前の漁師となったいまも老人を慕い、生活を気づ...