ちいさな読書部第5回『カメラ・オブスクーラ』読書会満席になりました

7月27日(土)『カメラ・オブスクーラ』読書会読書会は満席となりました。キャンセルが出た場合はこちらでお知らせします。また、Peatixで「ちいさな読書部」をフォローすると、キャンセルが発生した場合に通知を受け取れます。

ちいさな読書部第5回『カメラ・オブスクーラ』開催のお知らせ



日時:7月27日(土)15:30-17:30
場所:新宿のカフェ
費用:1000円程度

ちいさな読書部第5回は、ウラジーミル・ナボコフ『カメラ・オブスクーラ』を読む会です。

ナボコフは帝政ロシアの貴族の家庭に生まれ、ロシア革命によって亡命を余儀なくされました。ロシア語、フランス語、英語など複数の言語で書くマルチリンガル作家として広く知られ、細部にこだわる独特の作風から「言葉の魔術師」とも呼ばれています。

課題図書はナボコフが33歳のときにロシア語で書いた初期の傑作で、中年男性が美少女に恋をするというテーマが、およそ20年の後にナボコフの代表作になった『ロリータ』と共通しています。長く複雑な『ロリータ』に比べればボリュームも少なく読みやすい『カメラ・オブスクーラ』で、ナボコフの世界を楽しみませんか。

ナボコフは、小説の面白さはストーリーではなく細部にあるとして、仕掛けや面白さを読み取るには繰り返し読むことが必要だと考えていました。管理人も何冊かナボコフを読んでみて、初読時に気付かなかった呼応や、ストーリーを知ってから見える景色の違いを、驚きつつ楽しんだ経験があります。比較的読みやすい『カメラ・オブスクーラ』ですので、お時間に余裕のある方は再読をお勧めします。

課題図書以外に、最近読んで面白かった本、オールタイムベストの本など、読書部員に紹介したい本がありましたらぜひお持ちください。

読書会のあと、懇親会があります(予算5000円程度)。最近読んでよかった本、好きな作家などについてお話ししながらの夕食会です。参加の有無について、申し込みフォームでご指定ください。

お申し込みはPeatixで受け付けています。

(著者と作品についての記述は課題図書の訳者解説を参考にさせていただきました)

ちいさな読書部第4回『わたしは英国王に給仕した』活動報告

本活動報告には課題図書の仕掛けや結末について触れる箇所がありますので、未読の方はご注意ください。

今回の課題図書はボフミル・フラバル『わたしは英国王に給仕した』でした。


なぜこのタイトルなのか?」「ジーチェはどういうつもりで『わたしはエチオピア皇帝に給仕しましたから』を決まり文句にしていたのか?」「このフレーズは物語の中のチェコ人たちにどのように響いたのか?」と答えの出ない多くの疑問が挙げられ、参加者それぞれの解釈を共有する会になりました。

本書では、食事、衣装、調度、女性の美に対する眩しい気持ちが平易な口調で語られるため、楽しい物語を読み進める快さがあります。その一方で、主人公の、いくら努力しても最終的には集団から排除される成り行き、時代に翻弄され、なるべく有利な立場に自らを置こうと立ち回る小市民性に、辛い気持ちになったり苛立ちを感じたり。主人公の自伝という形式である以上、彼があえて書かなかったことがあるはずです。書かれなかった理由を考えながら読む中で、物語の結末を肯定的にとらえるか否かについて読書会参加者の意見が分かれた点が、管理人としては面白く感じました。

参加者の方のご感想の一部を以下に。
  • ジェットコースターのようで、想像力が求められる本。急展開で前のページに戻るはめに何度も陥った
  • タイトルについて1:「英国王に給仕できなかった自分」を皮肉な目で見ている
  • タイトルについて2:「英国王に給仕した」師匠に対する敬愛では
  • 決まり文句について:元は自慢だったが、自分の人生の単なる一エピソードにまで変化したのでは
  • 魅力がない語り手の魅力的な語り
  • 自分語り小説で整理されていない(著者はあえてそうしたようですね)
  • 主人公は他者に興味がなく、自分は特別だという感じている
  • 釘打ち息子や牛と城など、ガルシア=マルケスのよう
課題図書に関連して話題に上がった本や映画はこちら。

ちいさな独裁者

参加者の方の推薦本はこちら。

シリーズ ケアをひらく

第5回の課題図書はウラジーミル・ナボコフ『カメラ・オブスクーラ』、7月27日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。

ちいさな読書部第34回『老人と海』開催のお知らせ

日時:6月1日(土)15:30-17:30 場所:オンライン かつて読んだ人も、初めて読む人も。いま、歴史的名作を「新解釈」で! 老漁師サンティアーゴには、もう84日間も釣果がなかった。幼い頃から老人の見習いをしていたマノーリンは、一人前の漁師となったいまも老人を慕い、生活を気づ...