ちいさな読書部第14回『嵐が丘』開催のお知らせ

日時:1月30日(土)15:30-17:30

場所:オンライン

ブロンテ3姉妹は,イギリス北部ヨークシャーの一寒村に牧師の娘として生れ育った.本書はその一人エミリー(1818―48)が残した唯一の長篇小説で,ヒースの茂る荒涼たる自然を背景とした,二つの家族の3代にわたる愛憎の悲劇.浮浪児であった主人公ヒースクリフの悪魔的な性格造形が圧倒的な迫力を持つ.(岩波書店の課題図書紹介ページより)

エミリー・ブロンテの『嵐が丘』は西洋文化圏屈指の名高い恋愛物語とされている。だが、読み進めるうちにわかってくるのは、この小説は恋愛物語というよりもむしろ暴力、幽霊、虐待の話ではないか、ということである。(ジェイムズ・キャントンほか『世界文学大図鑑』より)

ちいさな読書部第14回は、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』を読む会です。

『嵐が丘』はエミリーの残した唯一の長編です。『ガラスの仮面』で名前だけは知っていても、なかなか手が出ない19世紀の古典だったりしないでしょうか。上下巻の長編ですが、読書会を目指して年末年始の読書にいかがでしょう。

ちょうど1年前の読書会で、エミリーの姉シャーロットが書いた『ジェーン・エア』を読みましたが、『ジェーン・エア』でも「暴力、幽霊、虐待」のモチーフが扱われていたように思います。同年に出版された『嵐が丘』ではこれらの要素がどのように扱われているのか、読むのが楽しみです。

本作品はさまざまな翻訳が出ていますので、お好みの版でご参加ください。管理人は河島弘美訳の岩波文庫版で参加する予定です。

本会はZoomを使って実施します。接続方法についてはこちらを、Zoomの使い方についてはこちらをご覧ください。初めてセットアップする場合のテスト方法はこちら

オンラインミーティングが初めてという方は、ヘッドセットやマイク付きイヤフォンのご利用をお勧めします。有線の製品なら1000円程度から入手できます。

お申し込みはPeatixのこちらのページで受け付けています。

ちいさな読書部第13回『隔離の島』活動報告

本活動報告には課題図書の結末について触れる箇所がありますので、未読の方はご注意ください。

今回の課題図書はル・クレジオ『隔離の島』でした。

感染症に対する直接的な恐怖の描写は少ないですが、極限状態にある人間のふるまい、変質してしまう関係、生き方の大転換など、コロナ禍の身近な出来事と重なるエピソードも多い小説でした。その一方で、多くの参加者が本書のテーマとして捉えたのは、西洋と東洋、支配する側とされる側の境界を越えるという越境のテーマだったように感じます。

シュルヤの造形については意見が分かれました。理想化しすぎ、意思を持った人間に見えない、物語中の役割としてあのようであることは理解できる、レオン1にとってのシュルヤであり実際にどうだったのかはわからない、などなど。管理人としてはシュルヤにとってのレオン1、リリにとってのレオン2は何者だったのか、ル・クレジオが書こうとしたらどのようなものになったのかが気になりました。

参加者の方のコメントの一部を以下に。

  • 隔離されたときのジョンとヴェランのふるまいの対比が興味深かった。ルーチンがある人は強い。
  • 「隔離」の章のあとのサラが気になる。回復していてほしい。
  • レオン1のありように西洋的支配に対する後ろめたさを感じた。
  • 動植物、島の光景の描写が幻想的。
  • シュザンヌにシュルヤとは違う魅力があった。ル・クレジオは女性を理想化する書き手なのか。
  • 日本からの移民や沖縄と本土の関係について改めて思うところがあった。
  • ジュディス・バトラーの植民地主義とジェンダーの相似を思い浮かべた。
  • サイードの『オリエンタリズム』とシュルヤが重なる。
  • 船から島に天然痘が持ち込まれたた点で、ヨーロッパから南米に風邪と梅毒が持ち込まれたのを連想した。
  • レオン1がジャックと決別するのは、兄が西洋を体現しているから。

参加者の今回のおすすめ本・話題になった本はこちら。

第14回の課題図書はブロンテ『嵐が丘』、1月30日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。

ちいさな読書部第34回『老人と海』開催のお知らせ

日時:6月1日(土)15:30-17:30 場所:オンライン かつて読んだ人も、初めて読む人も。いま、歴史的名作を「新解釈」で! 老漁師サンティアーゴには、もう84日間も釣果がなかった。幼い頃から老人の見習いをしていたマノーリンは、一人前の漁師となったいまも老人を慕い、生活を気づ...