本活動報告には課題図書の結末について触れる箇所がありますので、未読の方はご注意ください。
今回の課題図書はヘルマン・ヘッセ『知と愛』でした。
今回は、「好き」派と「わからない」派で分かれる会になりました。ゴルトムントの女性遍歴やストーリー展開にリアリティを感じず、乗り切れずに読んだ方も、二人の友情、自然描写や、読後感の美しさを味わって読んだ方もいたからです。みなさんの意見を聞いて納得したり新しい視点を得たりするなかで管理人が思ったのは、本書は「人はその才を生かす場所に身を置くべき」というヘッセの思いが小説の形をとったものであり、その信念のために唯一愛する者の背中を押す友情のうつくしさの表れであるということでした。
話題の一部を以下に。
- 行って帰ってくる構成になっており、最初と最後はナルチスとゴルトムントの対話により状況が整理される。気持ちよく読めた。
- 女性が人間扱いされない、人としての描写がない。
- ホモソーシャルな小説ではあると感じた。
- ゴルトムントは放浪はしたものの、生き生きとしており、もがいているというより自分の欲望を理解していた。他者に対していつも前向きなので許されている。
- ゴルトムントが美の理解者になるための試練として、清濁を併せ飲む放浪の旅が必要だったのでは。
- ゴルトムントとナルチスは本来一人の人間なのではないか。
- ゴルトムントはナルチスに「母がなくてどうやって死ねるだろう」と言い置いて亡くなった。そこからナルチスの中に新しい何かが生まれる予感を残して終わっている。
- ゴルトムントへの母への執着がわかる/わからない(これは男性と女性でかなり納得感が違うポイントでした)。
参加者の今回のおすすめ・話題になった本はこちら。
次回の課題図書はイーヴリン・ウォー『回想のブライズヘッド』、1月27日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。
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