ちいさな読書部第16回『訴訟』開催のお知らせ


日時:5月29日(土)15:30-17:30

場所:オンライン

おどろおどろしいカフカはもう卒業! 「不条理」「不安」「絶望」。深刻ぶったこれまでの『審判』を洗い直してみると、軽やかで、喜劇のにおいがする『訴訟』だった。平凡な市民が共感する日常的な心理やユーモアを搭載した長編小説の試み。

銀行員ヨーゼフ・Kは、ある朝、とつぜん逮捕される。なぜなのか? 判事にも弁護士からもまったく説明されず、わけのわからないまま審理がおこなわれ、窮地に追い込まれていく......。「草稿」に忠実な、最新の<史的批判版>をもとに、カフカをカフカのまま届けるラディカルな新訳!
(光文社の課題図書紹介ページより)

ちいさな読書部第16回は、フランツ・カフカの『訴訟』を読む会です。

カフカといえばなんといっても「変身」が最も知られた作品です。不条理にも虫に変身してしまったザムザの物語はいくつかの訳で読んできましたが、丘沢訳の「変身」(光文社古典新訳文庫『変身/掟の前で 他2編』所収)はとてもコミカルで驚いたものでした。他者恐怖や自己不安が書かれていることには変わりありません。ですが、その息苦しさがユーモアでくるまれていたことが伝わる丘沢静也訳でカフカをもっと読んでみたいと思い、今回の選書になりました。

今回は史的批判版(1997年)を定本とする丘沢静也訳を読む会ですので、光文社古典新訳文庫をご用意ください。もちろん、従来の版と新訳文庫との違いについて語っていただくのは大歓迎です。

本会はZoomを使って実施します。接続方法についてはこちらを、Zoomの使い方についてはこちらをご覧ください。初めてセットアップする場合のテスト方法はこちら

オンラインミーティングが初めてという方は、ヘッドセットやマイク付きイヤフォンのご利用をお勧めします。有線の製品なら1000円程度から入手できます。

お申し込みはPeatixのこちらのページで受け付けています。

お願い:本会は少人数でゆったり話し合うタイプの読書会です。会の運営に響きますので、仮押さえ目的の申し込みは固くお断りいたします。無断欠席された方は今後の会にはご参加いただけませんので、ご承知おきください。

ちいさな読書部第15回『誓願』活動報告

本活動報告には課題図書の結末について触れる箇所がありますので、未読の方はご注意ください。

今回の課題図書はアトウッド『誓願』でした。


今回は、参加者のみなさんの多くが「おもしろかったけれどエンタメ度が高過ぎ」「ずいぶんエンタメに寄せているけれど面白かった」の間のどこかに感想が収まる会になりました。『侍女の物語』から35年を経て、#MeToo運動の興隆や米国トランプ政権下のバックラッシュなどにより時代状況が大きく変わったこと、ドラマ版『侍女の物語』後のアンサー小説であることが、本書の読み心地を前作と大きく変える要因になったようです。国家の崩壊過程や平民視点での描写など、もっと知りたい要素が省略されているという意見もあり、リーダビリティが高い分、書かれなかった多くの領域について欲求不満がつのる作品だったかもしれません。

参加者の方のコメントの一部を以下に。
  • 地下鉄道などは現実世界に実際に起きたことを反映している。気づけるとよりおもしろい
  • ディストピア小説ではあるが現実を反映している
  • 地方の女の子が強いられる有象無象の制限に近いものを感じた
  • 男性の登場人物がマンガのような単純な悪役だったので、読んでいて居心地の悪さを感じることがなかった(男性の参加者より)
  • 最後がきれいに納まりすぎていて、ハリウッド映画のようだった
  • エンタメでいくならもっと意外性が欲しい
参加者の今回のおすすめ・話題になった本はこちら。


第16回の課題図書はカフカ『訴訟』、5月29日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。

ちいさな読書部第34回『老人と海』開催のお知らせ

日時:6月1日(土)15:30-17:30 場所:オンライン かつて読んだ人も、初めて読む人も。いま、歴史的名作を「新解釈」で! 老漁師サンティアーゴには、もう84日間も釣果がなかった。幼い頃から老人の見習いをしていたマノーリンは、一人前の漁師となったいまも老人を慕い、生活を気づ...