ちいさな読書部第21回『ボヴァリー夫人』開催のお知らせ

日時:3月26日(土)15:30-17:30

場所:オンライン

甘い恋の毒が人妻を狂わせる。夫の陰で情事を重ねる美人妻の、悲劇的な末路――。

サブタイトルは「地方風俗」。村の不倫話を芸術にまで昇華させた仏文学の金字塔、待望の新訳!

娘時代に恋愛小説を読み耽った美しいエンマは、田舎医者シャルルとの退屈な新婚生活に倦んでいた。やがてエンマは夫の目を盗んで、色男のロドルフや青年書記レオンとの情事にのめりこみ莫大な借金を残して服毒自殺を遂げる。そして――。

一地方のありふれた姦通事件を、芸術に昇華させたフランス近代小説の金字塔。徹底した推敲を施した原文の息づかいそのままに、日本語に再現した決定版新訳。

(新潮社の課題図書紹介ページより)

ちいさな読書部第21回は、ギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』を読む会です。

ギュスターヴ・フローベールの代表作『ボヴァリー夫人』は、後世に最も影響を与えたフランス写実主義の最高傑作とされています。フローベールはあらゆる文からロマン主義的なものを削ぎ落とし、新たな散文の文体を作りあげることをめざしました。彼の「作者の主観や意図がひとつとして反映されない」徹底した客観描写で書き切る試みがどのように成功しているのか、集まって読んでみたいと思います。(参考:キャントン『世界文学大図鑑』)

管理人は新潮文庫の芳川泰久訳で読むつもりです。お好みの版でご参加ください。

お申し込みはPeatixのこちらのページで受け付けています。

お願い:本会は少人数でゆったり話し合うタイプの読書会です。会の運営に響きますので、ご参加の目処が立ってからお申込みいただきますようお願いいたします。無断欠席された方は今後の会にはご参加いただけませんので、ご承知おきください。

ちいさな読書部第20回『ラ・カテドラルでの対話』活動報告

 今回の課題図書はバルガス=リョサ『ラ・カテドラルでの対話』でした。

今回は、バルガス=リョサの語りがとにかくうまいことをメインに、そうはいっても特定の時代に書かれた小説を、今の価値観に照らしてどう読むべきか、上手に距離を取りつつ楽しむにはどうしたらよいかについて意見を交わしあう会になりました。管理人は敬愛するドン・フェルミンについて話したかったのですが、あっという間に時間が経ってしまい... またどこかで本書について語る機会が持てたらと思います。

参加者の方のコメントの一部を以下に。

  • 著者・課題図書について
    • 語りが上手すぎて嘘をつくのが得意そう。
    • 背景がわからなくても読める面白さがある。
    • 登場人物の造形が濃いので、描写が断片化されているのに一つの物語として読める。
    • 緒言は後からの付け足しだから、バルガス=リョサのリップサービスの可能性あり。
    • 学生運動とその衰退について、小説の舞台になった時期ではなく執筆された時期のバルガス=リョサの意識が反映されているのでは。
    • ペルーの政治の腐敗を糾弾しようとしたというより、小説を面白くするための道具立てとして利用しているように感じた。
  • サバリータについて
    • 厨二病? それともきちんと考えがあった?
    • やりたいことがみつからない人。
    • 聖職者の潔癖さがあった。対話ではなく一方的な告解のようだった。
  • アンブローシオについて
    • 生命力に希望を感じた。
    • 複雑な性格を持つ人。
    • 使用人階層だからそうせざるを得なかったのかもしれないが、自意識を内に秘められる人(サバリータと逆)。
  • 女性の描き方について
    • アマーリア(聖)とソイラ(俗)、娼婦たちがひたすら男から金を搾り取ろうするなど、やや類型的。
    • 都合のいい女たちではなかった点では興ざめしなかった。
    • 女性の外見の描写が妙に多いのは、著者が無批判に女性を見られる性として扱っているのかどうか(後付けですが、カヨの嗜癖の表れかもしれないと管理人は思いました)。

参加者の今回のおすすめ・話題になった本や映画はこちら。

次回の課題図書はギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』、3月26日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。

ちいさな読書部第34回『老人と海』開催のお知らせ

日時:6月1日(土)15:30-17:30 場所:オンライン かつて読んだ人も、初めて読む人も。いま、歴史的名作を「新解釈」で! 老漁師サンティアーゴには、もう84日間も釣果がなかった。幼い頃から老人の見習いをしていたマノーリンは、一人前の漁師となったいまも老人を慕い、生活を気づ...