ちいさな読書部第26回『人間のしがらみ』開催のお知らせ


日時:1月28日(土)15:30-17:30

場所:オンライン

なぜ人は感情の犠牲となりながら生きるのか

憧れと挫折……
青年のままならない生を描く、不滅のマスターピース

幼くして両親を亡くした少年フィリップ。寄宿学校での経験から自由を求め、外国生活に憧れてハイデルベルク、芸術家を夢見てパリ、就職を見据えてロンドンと、理想と現実の狭間をもがき進むが......。友情と恋愛、そして人生のままならなさを描き切る文豪モームの自伝的長編小説。(光文社の課題図書紹介ページより)

ちいさな読書部第26回は、ウィリアム・サマセット・モーム『人間のしがらみ』を読む会です。本作は20世紀前半の英文学の傑作として広く認められ、日本でも「月と六ペンス」と並び、多数あるモーム作品の中で絶えず重版されています(Wikipedia「人間の絆」より)。

お正月休みにじっくり小説を楽しむことをテーマに、本読書会では毎年1月に複数巻の長めの小説を読むのが恒例になっています。モームは推理小説並みに先が気になる、どっぷりその世界に浸れる小説を書く作家だと感じています。光文社古典新訳文庫なら上下で1300ページとかなりの長編ですが、ページを夢中でめくる体験が待っていると思うと年末年始が楽しみです。

従来「人間の絆」の題名で、行方昭夫、金原瑞人などが訳した多くの版が出版されていますので、お好みの版でご参加ください。管理人は最新の河合祥一郎訳で読むつもりです。

お申し込みはPeatixのこちらのページで受け付けています。

お願い:本会は少人数でゆったり話し合うタイプの読書会です。会の運営に響きますので、ご参加の目処が立ってからお申込みいただきますようお願いいたします。無断欠席された方は今後の会にはご参加いただけませんので、ご承知おきください。

ちいさな読書部第25回『ソラリス』活動報告

今回の課題図書はレム『ソラリス』でした。


毎回、参加者の方には会のはじめに課題図書について一言感想をうかがいます。今回は「つかみどころがない」という声が一番多かったのですが、つかみどころがないからいい、目が滑るから好きというご意見もあり、小説のおもしろさの多様性に気づく幕開けになりました。

理解が及ばない存在に対峙したとき人間がいかに不安定になるか、どのようにしたら既存の尺度を棚上げにできるか。上位存在は神との類比でしか理解できないのか。人間の認識の限界を提示しながら、わかりあえない存在との距離を縮める次の一歩の可能性を残す結末に、『ソラリス』世界を貫く知性への信頼を感じました。

参加者の方のコメントの一部を以下に。

  • タルコフスキーの映画から入ったので、予想外に哲学的・ストイックに感じた。(タルコフスキーもソダーバーグも着地点でレムの思想から大きく離れてしまったというコメントあり)
  • 恋愛小説として受け取ることはなかった。少なくとも中核的テーマではない。
  • 人間は「海」を既知の枠組みでしか認識できない。
  • 「海」は単一の存在であり、生物の定義から外れている。しかし目的を持っているならそれは生物ではないか。
  • ミモイドと幽体Fの根本的違いは何か。
  • ケルヴィンが知の探究を至上とする研究者だからこそ、あの結末が成り立った。

参加者の今回のおすすめ・話題になった本や映画はこちら。


次回の課題図書はサマセット・モーム『人間のしがらみ』、1月28日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。

ちいさな読書部第34回『老人と海』開催のお知らせ

日時:6月1日(土)15:30-17:30 場所:オンライン かつて読んだ人も、初めて読む人も。いま、歴史的名作を「新解釈」で! 老漁師サンティアーゴには、もう84日間も釣果がなかった。幼い頃から老人の見習いをしていたマノーリンは、一人前の漁師となったいまも老人を慕い、生活を気づ...