ちいさな読書部第19回『インディゴ』活動報告

今回の課題図書はゼッツ『インディゴ』でした。

今回は、全員で「よくわからなかった、どう読みましたか?」と尋ね合う読書会になりました。理解のための道筋が見えないように設計されており、わからなさを共有する楽しさがある作品です。真相的な結末は存在せず、自分から参加しないと読み進む感覚が得られません。読み手がルールを決めてコンテンツを遊ぶゲーム性を楽しめるかどうかが鍵といえそうです。

参加者の方のコメントの一部を以下に。

  • 気持ち悪さについて
    • 潔い気持ち悪さで、そこを新しく感じた。
    • 気持ちが悪いのだが居心地が良い。
    • 地獄ではないが煉獄の感覚があった。
  • わからなさについて
    • 思いもよらない本が好きなので面白かった。
    • たくさんの情報が提供され、読み手がどれかには引っかかる。各人の中で別の話が派生していく。
    • 人間にとって、何をするのかわからない人間は一番気持ち悪い。
  • 作中のコミュニケーションについて
    • 自分が言いたいことは相手に通じない、通じないまま対話し続けている。
    • 動画サイトやはてな匿名ダイアリーのコメントを想起した。
    • だれもがその人のフィルターを通して独自な読み方をする、その点を強調した本。
  • クレメンスとロベルト
    • 類似点と真逆の点が混ざり合っている。ドッペルゲンガー的存在?
    • クレメンスは人間の思考を理解できない。ロベルトの方がまだ社会性がある。
    • ユリアはクレメンスのイマジナリーガールフレンドと思って読んでいた。
    • 二人に対して批判も肯定もないのが新鮮だった。
    • 正常と異常の境目のなさを感じた。
  • フォーマット・スタイルについて
    • 装丁が良い(カバーに著者の画像が浮かび上がるようになっているそうです)。
    • (著者と同世代の方からのご意見)引用されるものや音楽の使い方に、同時代の作品を読んでいる感覚があった。
    • 紙と電子で読み心地が異なる。物理的な重さが内容の印象に影響を与える。

参加者の今回のおすすめ・話題になった本や映画はこちら。

次回の課題図書はマリオ・バルガス=リョサ『ラ・カテドラルでの対話』、1月29日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。

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