本活動報告には課題図書の結末について触れる箇所がありますので、未読の方はご注意ください。
今回の課題図書はウルフ『波』でした。
今回は読むのに時間がかかった、難しかったという方が多かったです。登場人物の区別がつきにくかったり、彼らの状況がわからなくなったり。登場人物たちの独白にひたすら耳を傾ける、めったにない読書体験になりました。とはいえ読書会が終わるころには「あらためて読み返したい」とおっしゃる方が何人も出て、みんなで読んでみる良さがある作品だったといえそうです。6人の人生行路だけではなく、背景として現れるロンドンやイギリスの田舎の描写の美しさ、自然や人物に対する感情の細やかさ、豊かさを堪能したという声も多く聞かれました。
参加者の方のコメントの一部を以下に。
- 筆致は精緻ながら登場人物に泥臭いところがあって愛着がわいた。
- 老いの書き方が暗くもの悲しいのはウルフが老いを恐れていたから?
- ウルフは書けなくなるバーナードに自分を重ねていたのではないか。
- 題名について:
- 反復だが一つ一つが違う波=人生。
- 波=鏡。響き合い。記憶。人との距離。
- 連続しているが変化していく=生活。
- パーシヴァルについて:
- 肉体・若さの象徴。
- ピラミッドのトップにいる存在。神話化されている。パーシヴァルを置くことで6人の葛藤が際立つ。
- 自分の言葉を語れない。幽霊のよう。
- バーナードがすべて書いたのでは。彼はパーシヴァルになれないからパーシヴァルとして語れなかったのでは。
- 鍵括弧の用法の謎。閉じない括弧と閉じる括弧があるが法則がわからない。
参加者の今回のおすすめ・話題になった本はこちら。
第19回の課題図書はクレメンス・J・ゼッツ『インディゴ』、11月27日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。
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