今回の課題図書はレム『ソラリス』でした。
毎回、参加者の方には会のはじめに課題図書について一言感想をうかがいます。今回は「つかみどころがない」という声が一番多かったのですが、つかみどころがないからいい、目が滑るから好きというご意見もあり、小説のおもしろさの多様性に気づく幕開けになりました。
理解が及ばない存在に対峙したとき人間がいかに不安定になるか、どのようにしたら既存の尺度を棚上げにできるか。上位存在は神との類比でしか理解できないのか。人間の認識の限界を提示しながら、わかりあえない存在との距離を縮める次の一歩の可能性を残す結末に、『ソラリス』世界を貫く知性への信頼を感じました。
参加者の方のコメントの一部を以下に。
- タルコフスキーの映画から入ったので、予想外に哲学的・ストイックに感じた。(タルコフスキーもソダーバーグも着地点でレムの思想から大きく離れてしまったというコメントあり)
- 恋愛小説として受け取ることはなかった。少なくとも中核的テーマではない。
- 人間は「海」を既知の枠組みでしか認識できない。
- 「海」は単一の存在であり、生物の定義から外れている。しかし目的を持っているならそれは生物ではないか。
- ミモイドと幽体Fの根本的違いは何か。
- ケルヴィンが知の探究を至上とする研究者だからこそ、あの結末が成り立った。
参加者の今回のおすすめ・話題になった本や映画はこちら。
次回の課題図書はサマセット・モーム『人間のしがらみ』、1月28日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。
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