本活動報告には課題図書の結末について触れる箇所がありますので、未読の方はご注意ください。
今回の課題図書はギンズブルグ『ある家族の会話』でした。
本書全体にわたって描かれる、レーヴィ家の人たちが交わした会話や友人たちとの交流を追いかけるうちに、ご実家やご両親との関係を思い返したり、友人たちとのかかわりを考えてしまったり。ギンズブルグの家族史をきっかけに、いつもの読書会より、参加者の方々個人の思い出や経験を語り合う会になりました。ナタリアは末っ子であるためか、一歩引いて家族を見つめます。距離はとりながらも愛情のこもった文章に、温かい気持ちになりました。
参加者の方のコメントの一部を以下に。
- 全体について
- ユダヤ人迫害の悲惨な場面の記述がないので、辛くならずに読めた。
- 反ファシズムの一家の話なので、応援しながら読んだ。
- 戦時の、権力者ではなくて市井の人たちの話として読んだ。
- ナタリアの父について
- 専門職についていても家ではつじつまの合わない癇癪を起す。自分の父を思い出した。
- 昔の父親。懐かしい。
- なぜ5人の子供全員の結婚に反対するのか。
- ナタリアの母について
- お母さんが子供たちの巣立ちに適応していく、成長物語でもあった。
- お父さんはずっとお金の心配をしていたが、お母さんもかなり浪費家だったのでは。
- 家族の友人たちについて
- 思想でつながっている仲間意識があった。
- サロン文化の一環。当時は話すのが一番の娯楽だった。
- イタリア人の国民性もあるのでは(参加者の方たちから、海外交流の場面でイタリア人と仲良くなった話が語られました)。
- 今のわたしたちについて
- 今は人が切り離されている。人が集まる機会が少ない。
- 目的なしに集まるのが難しくなった。
- 大人になってから友だちの作り方がわからない。
- 共通の話題があれば縁が続くが、自分の趣味について話すきっかけもなかなかない。
- 自分にとって何が大事かを知っていれば、つながりは徐々にできてくる。
参加者の今回のおすすめ・話題になった本や映画はこちら。
次回の課題図書はスタニスワフ・レム『ソラリス』、11月26日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。
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