ちいさな読書部第8回『ジェイン・エア』活動報告

本活動報告には課題図書の結末について触れる箇所がありますので、未読の方はご注意ください。

今回の課題図書はシャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』でした。


読むたびに新しい気づきがある、読ませる小説です。10代で初めて読んだときは古めかしい恋愛小説と感じたけれど、大人になってから読み返したら印象が変わったというご意見がありました。読書部管理人は今回の読書会のために初めて読んだのですが、学生時代にも読んでいたら同じように感じたと思います。大昔に読んだきりという方に、ぜひ再読していただきたい名作でした。

ロチェスターは完璧ではないどころか、むしろ欠点の多い中年男性です。しかしそんなロチェスターをジェインが自分の意志で選び取った、ジェインの人生を決めたのは彼女自身だったという点に、シャーロット・ブロンテの考える女性の生き方の理想や19世紀英国社会に対する憤りが透けて見えるようでした。

参加者の方のご感想の一部を以下に。
  • ジェインは強いように見えてもまだ10代でけなげな女の子。父親的存在を求めていたからロチェスターに惹かれた。
  • ジェインは意外と他者に取り込まれる、実は隙があってモテキャラ。
  • ロチェスターの良さとは? 外見の美に惑わされず、知的な交流を求めた。ジェインに対し「対等だ」と言い切ったのは新しい。
  • セント・ジョンは人の感情を認識できない、冷たい意志の塊だが、ジェインの分身的な存在でもある。
  • バーサやアデルに対する記述の冷たさに英国中心の考え方が表れている。
  • 身分の違いが人とのかかわり方を大きく変える社会の話。
  • ジェイン/シャーロットの情念がバーサを動かし、ロチェスターをジェインと対等の立場に引きずりおろしている。
参加者の方の今回のおすすめ本・話題になった本はこちら。


第9回の課題図書はテッド・チャン『息吹』、3月28日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。

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