今回の課題図書はザミャーチン『われら』でした。
オーウェル『一九八四年』やハクスリー『すばらしい新世界』と比べると、世界が抽象的で、主人公の語り慣れなさのために読み進めるのに苦労したという声が多く聞かれました。けれども、<単一国>のシステム、「メフィ」の成立過程、Д-503の自己像のゆらぎと、注目ポイントが読み手によってさまざまで、人とともに読む醍醐味がありました。
『一九八四年』のように全体主義への批判が前面に立つ小説ではありません。「明日のことを心配せずに「われら」の一部として生きられるなら、現代日本よりましなのでは?」という問いに、直ちに否と答えられない隙が『われら』にはあります。読み手が想像力を巡らせる余地があることも、この作品が読み続けられている理由なのではないでしょうか。
参加者の方のご感想の一部を以下に。
- 箱庭の清潔感がある
- O-90がよい、応援したくなる
- 三大古典SFのなかでも元祖的存在
- ラブコメとして読んだ
- 体制どっぷりの男が変わっていくところが面白い
- 当時の共産主義者にとっては悪い予言だった
- ディストピア小説によくある付録的解説がないので、宙ぶらりんになった気持ち
- Д-503の手記はなぜ残っているのか。<単一国>が見せしめのために残したのでは?
- Д-503はなぜ処刑されなかったのか
- I-330のような存在がなぜ<単一国>にありえたのか
- <インテグラル>プロジェクトは国威発揚が目的で、真に宇宙に出る理由がない
- 「ザチャーミン」だと思っていた(3名...)
第8回の課題図書はシャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』、1月25日(土)13:00からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。
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