ベルリンの見る力の強さに感嘆し、そのように優れた見る人になった経緯に思いをはせる読書会になりました。ベルリンの視線はフラットで対象から常に一定の距離を取っています。それは距離を取らざるを得なかった過酷で濃密な生を生き抜くための手段であったかもしれません。 ベルリンの作品は何も押し付けてきませんが、なにか読み手を鼓舞するところがあります。経験から編み上げられた強い光を放つ数々の短編を、もっと読みたいという気持ちでいっぱいです。 連想した作家として、小島信夫、伊藤比呂美、江國香織、武田百合子、中上健次など、日本人を挙げる方が多かったのが印象に残りました。現在本書は5刷だそうですが、ベルリンの短編には日本人にとってとくに馴染みやすい要素があるのかもしれませんね。 参加者の方のご感想の一部を以下に。
- ひとりの人がさまざまな角度から語られている
- とにかく観察することで自分を守っていたのでは
- 刑務所や介護の現場のリアリティが優れている
- アルコール中毒者たちの優しさがせつない
- プロテスタントの家からカトリックの学校に通わされるのは大変な負担だったのでは
- ジョンおじさんは実在したのか、ジョンおじさんの後半生が完全な創作でなければいいのにと思う
- 4人の息子と母を中心に描いた短編があるなら読みたい
第7回の課題図書はエフゲーニー・イワーノヴィチ・ザミャーチン『われら』、11月30日(土)15:30からの開催です。申し込みについては、こちらのブログで別途ご案内します。
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